ぜひ試してもらいたいソーシャル・ストーリー
こんにちは。
ずぼら母ちゃんこと渡辺さつきです。
今回は、ソーシャル・ストーリーについてお話ししたいと思います。
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ソーシャル・ストーリーとは
ソーシャル・ストーリーというのは、前回お話したコミック会話を発表したキャロル・グレイさんによる「身の回りのものの性質や様々な場面でのふさわしい言動はどのようなものなのかなどを自閉症スペクトラムのある人たちにわかりやすい形で伝えるためのコミュニケーションツール」です。
自閉症スペクトラムのある方々は社会的な暗黙のルールのようなものを察することが苦手だと言われています。
定型発達のお子さんたちが何となく身に付けていく暗黙のルール(常識と言い換えてもいいかもしれません)ですが、自閉症スペクトラムのあるお子さんたちは、認知上の偏りや興味関心の偏り、または情報処理の方法が定型発達の人とは違うことなどがあるために、丁寧に教えてあげないと自然に覚えて行くということが非常に難しいと言えます。
しかし、周りにいる人たちはそうした事情を知らないので、
この子は問題児だ
とか、
何を考えているのか、全然理解できない子どもだ
などという判断をすることになってしまうことも少なくありません。
ソーシャル・ストーリーは、様々な知識や暗黙のルールを丁寧に教えることによって、自閉症スペクトラムのある人たちの理解力を高めて、自分自身で適切な行動をとっていけるように書かれた文章です。
ソーシャル・ストーリーについての書籍
ソーシャル・ストーリーについての本は、私自身「ソーシャルストーリブック」と「お母さんと先生が書くソーシャルストーリー」の2冊を持っています。(ソーシャルストーリーブックは改訂版になっていましたが・・・)
「ソーシャルストーリーブック」には、概要と多くの文例が載っていて、そのまま使える文例集です。
日常生活や学校生活で必要な様々なスキルや情報が網羅されています。
(学校生活での文例が出てきますので、小学生以降向けかもしれません)
ただ、自分で書きたいという場合には情報が足りません。
自分でお子さんにあったソーシャルストーリーを書き足したい場合には、「お母さんと先生が書くソーシャルストーリー」が必要になります。
こちらの本には、書き方について、かなり詳しく書いてありますので、「ソーシャルストーリーブック」と読んで、わかったような気になって、書き方について不完全な理解のまま新しいソーシャルストーリーを書くことだけは避けてください。
「マイソーシャルストーリーブック」は、やはりそのまま使える文が載っている本です。
「ソーシャルストーリーブック」に比べて、一つ一つの項目が丁寧に書かれていて、より幼い子どもにもわかりやすい内容になっています。
たとえば、幼稚園・保育園の年少さんなどから使える内容になっていると思いますので、お子さんが小さいうちはこちらを先に読むと良いと思います。
ソーシャルストーリーを使うことの利点
自閉症スペクトラムのお子さんは社会的な暗黙のルールを自然に習得してくのが苦手なので、定型発達のお子さんが特に教えてあげなくてもできるようになってしまうような簡単なことを、大人になっても理解していないということがよくあります。
ニキ・リンコさん(大人のアスペ当事者の方です)は書籍の中で、外国人向けの日本の常識についての本を読んで、いろいろなことを学んだとおっしゃっていました。
このことからもわかるように、えっ?そんなこともしらないの?というような簡単なことでも、教えてもらわないとわからないんですよね。
もちろん、そうした理解不足は、幼稚園・保育園での、また学校での生活にかなりの影響を与えます。
もっと、はっきり言ってしまえば、トラブルのもとになるんですよね。
周りの人たちから変なレッテルを貼られてしまうと、もう悲劇です。
ソーシャルストーリーは、自閉症スペクトラムのある人たちに、肯定的な表現をしながら様々なことを教えてくれるので、セルフエスティームを損なうことなく、理解力を高めてくれます。
このことは、より良い成長のためには本当に大切なことです。
お子さんの発達によってはすべての項目は必要ないかもしれませんが、あれっ?という感じで、ある部分をストンと取りこぼしている可能性があるので、読み物としてすべての項目を読んでおくのも無駄なことではありません。
書籍としては高いものなのですが、それだけの価値はあるのではないかと思う本です。
どこの部分で役に立ったということは明確にはわからないものの、私は柚樹に読ませてとても良かったと思っています。
(自分の安心感のためにも、良かったです)
ソーシャル・ストーリーをそのまま使わなかったとしても考え方は役に立つ
実は、ソーシャルストーリーの手法をそのまま使わなかったとしても、こうした語り口を知っておくことは、普段の生活の中のコミュニケーションに非常に役に立ちます。
というのは、自閉症スペクトラムのある子どもは、こんなふうに説明をすると理解しやすいんだなということが分かるので、普段からそのように話すことができるようになるからです。
当然、お子さんにこちらの意図がちゃんと伝わりますし、いらないストレスを抱えることがなくなるわけです。
前回の記事では、コミック会話によって、お子さんの考えていることがスムーズに分かるということをご紹介しましたが、ソーシャルストーリーの考え方は、こちらの伝えたいことをお子さんにわかりやすい言葉で伝えることができる方法です。
これらをうまく利用することによって、双方向の理想的なコミュニケーションを目指すことができます。
ぜひ一度読んでみてください!
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