日常生活に必要な技能を身につけよう!(自閉症スペクトラム2歳代)

こんにちは
ずぼら母ちゃんこと渡辺さつきです。

今日は2歳代に行っていた日常生活をスムーズに送るための取り組みについてお話したいと思います。

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日常生活に必要な能力がまず大切

前回の記事で、私が通級指導教室で出会った自閉症スペクトラムのある小学生のことを載せました。

そのお子さんのIQが短期間で非常に伸びたこと、しかし、通常学級の1年生に在籍することが難しかったことについて、勉強面からの視点で書きました。

でも、私がそのお子さんを見ていて1番心配に思っていたのは、勉強面のことではなく、日常生活の困難さでした。とにかく、不器用なため、いろいろなことが自分ひとりではできないのです。

例えば、こんな面が心配でした。

  • ハサミが使えない。
  • 積み木程度の大きさの立体であっても、積み重ねるなどの操作ができない。
  • 給食で個包装になっているフルーツなどの袋が開けられない。
  • 豆のような大きさの粒を、親指・人差し指・中指を使って、つまみあげることができない。
  • 糊を使って貼り付けることができない。
  • 消しゴムを使って、文字を消すことができない。
  • 蛇口をひねって、水を出すことができない。
  • ボタンが留められない。
  • ひもが結べない。

などなど、数え上げるときりがありません。

正直な話をしてしまうと、これらが出来るのは前提というのが、小学校の普通学級です。
ですので、当然、全てその子自身でやることが要求されてしまいます。

でも、出来ない。しかも、自閉症スペクトラムがあるために、人間関係や、環境把握も難しい。
でも、そのお子さんは、IQが85あったために、普通学級に入ることになりました。
そのお子さんにとって想像を絶するようなストレスだったと思います

前回も書いたのですが、手っ取り早くIQを上げるというのは、短期的にみれば可能かも知れませんが、決してよい結果には結びつかないと考えているので、是非焦らずに凸凹の能力を出来るだけ、まぁるく、まぁるく育てるようにしてほしいなあと思います。

日常生活をスムーズに送るための取り組みの紹介

柚樹は運動神経がなくて、今となっては外遊びのサポートをもっともっとすべきだったなぁと反省しているのですが、日常生活を送るための技能についてはきちんと身についているので、どのような事を家庭で行ってきたのかをご紹介します。

  1. 柚樹の好きなこと・得意なことを利用して、苦手なところを伸ばす。
  2. 一緒に楽しく行い、出来たら共に喜ぶことは、必ずする。(柚樹の場合、コミュニケーション能力を伸ばすのが第1目標で、第2目標に手先を動かすことなどを据えていました。)
  3. 出来たこと自体がご褒美になるような取り組みが理想。

の3点をいつも念頭に置いていました。

小さい物をつまめるようにする練習

たまごボーロを食べる

柚樹 「ちょうだい」

私  「はいどうぞ」たまごボーロを1つ、お皿の上に置く。

柚樹 たまごボーロをつまみあげて、食べる。

柚樹 「ちょうだい」

私  「はいどうぞ」たまごボーロを一つ、お皿の上に置く。

柚樹 たまごボーロをつまみあげて、食べる。

これを繰り返す。

食べ終わったら、

柚樹といっしょに、「美味しかったね! ごちそうさま」をして、片づける。

※要求言語の練習も兼ねるので、「2つちょうだい。」などの発展ももちろん効果的。

くみくみスロープで遊ぶ

柚樹 「かして」

私  「はいどうぞ」ボールやビー玉を1つ、床に置く。

柚樹 ボールやビー玉ををつまみあげてくみくみスロープに落とす。

柚樹 「かして」

私  「はいどうぞ」ボールやビー玉を1つ、床に置く。

柚樹 ボールやビー玉ををつまみあげてくみくみスロープに落とす。

これを繰り返す。

バリエーションとしては、落ちてきたボールを自分で出せるように練習して、自分ひとりで行う事もできます。

また、要求言語の練習として、「赤、かして」「青、2つかして」などもできます。

シール貼りで遊ぶ

市販のシールブックを使って遊ぶのもいいですし、何色か大きめのドットシールを買っておいて、それを使って遊んでもいいと思います。

我が家では、市販のシールブックは勝手に自分で遊ぶ用、ドットシールは私と一緒に指示を聞きながらシールを貼っていく練習用として使っていました。

ドットシールを貼っていく台紙は、その場でちょこっと描く程度の簡単な物です。
例えば、よく描いたのがブドウ。簡単です。
その他、車や数字など、なんでもシール遊びの題材にしていました。
(柚樹は、絵よりも文字に興味を持つタイプの子だったので)

 

台紙は柚樹の前に置いておく。

私  柚樹の利き手ではない方の手の甲に、ドットシールをチョンと貼る。(取りやすいように)

「ここ」と言いながら、台紙の、シールを貼る○の中心に、×を書く。

柚樹 シールを利き手ではがし、×のある○の中にシールを貼る。

私  柚樹の利き手ではない方の手の甲に、ドットシールをチョンと貼る。(取りやすいように)

「ここ」と言いながら、台紙の、シールを貼る○の中心に、×を書く。

柚樹 シールを利き手ではがし、×のある○の中にシールを貼る。

これを繰り返します。

シール遊び用の台紙は、ネットで検索すると出てくるようです。

便利な世の中ですね!

ハサミを使う練習

柚樹ははじめのうち、バネが付いた子供用のハサミを使っていました。

まだ力が弱かったりうまく操作したりできないうちは、スプリングの補助が付いたハサミを使うと比較的簡単にハサミを使う事ができるので、嫌がらずにハサミを使ってくれました。

バネは起こせばバネの役目をして、たためば普通のハサミとして使えます。
下の写真はたたんだ状態ですね。
バネ分かるでしょうか?
指を入れる場所の内側についている薄い水色の丸から伸びているのがバネです。

個包装のお菓子を食べる

柚樹 「ちょうだい」

私  「はいどうぞ」個包装のお菓子をお皿の上に1つ置く。

柚樹 バネが付いた子供用のハサミを使って、お菓子の個包装を切って開ける。
(出来ないうちは、私がハサミを持たせて、切るのもサポートをしていました。)

中からお菓子を引っ張りだして食べる。

柚樹 「ちょうだい」

私  「はいどうぞ」個包装のお菓子をお皿の上に1つ置く。

柚樹 バネが付いた子供用のハサミを使って、お菓子の個包装を切って開ける。

中からお菓子を引っ張りだして食べる。

これを繰り返す。

食べ終わったら、

柚樹といっしょに、「美味しかったね! ごちそうさま」をして、片づける。

※要求言語の練習も兼ねるので、「2つちょうだい。」などの発展ももちろん効果的。

ハサミ自体を使う事が楽しくなってきたら、ハサミ遊び

市販のハサミ遊びのワークブックを使うと楽しく遊べます。

または、折り紙で切り絵なども楽しいですね。

手首をひねって、瓶のふたを開ける練習

瓶のふたを開けるのも、仕組んでいかないと自然に習得するのは難しい動きだと思います。

この動きは蛇口をひねるなどの動きにもつながっていきます。

瓶の中にお菓子を入れて、軽く閉めておきます。

柚樹 「ちょうだい」

私  「どうぞ」 瓶ごと柚樹の前に置く。

柚樹 瓶の蓋を回して開ける。※

瓶からお菓子を出して、食べる。

※はじめのうちは出来ないので、柚樹に瓶を持たせて、柚樹の手の上から一緒に操作して、動きを覚えさせました。

瓶は、ジャムの瓶、百均で売っているような瓶など、いろいろな種類の瓶を体験させてあげると効果的だと思います。

慣れてきたら、瓶の口を少しずつきつくしていきます。

積み木遊びでものを操作する練習

積み木を使って、いろいろな物を作ります。

積み木遊びは、見立てを促すことにもなりますので、是非行いたい遊びです。

とにかく一緒に楽しんで行いましょう。

もし、たくさん与えてしまうと、一列に並べてしまうなどが予想されるなら、横に並んで、1つ1つ渡しながら、ママさんパパさんのつくる「家」などを模倣させるといいと思います。

出来たらもちろん一緒に「で・き・た!」(手をパン・パン・パン)と喜びましょうね!!

握力をつける練習

  • 鉄棒にぶら下がる
  • ブランコに乗って、しっかりと鎖をつかむ。
  • ジャングルジムをする。
  • 梯子を登る。
  • 滑り台に自分で登る(階段を上るときに、しっかり手で手すりをつかむと思います)

我が家でもアンパンマンの鉄棒&ブランコと幼児用のジャングルジムを置いていつでも使えるようにしていました。使っていたものはもうみんな処分してしまったので、今はもうありませんが…。

ボタン・ひも結びは、もう少し先に練習する

ボタンを留めること、ひもを結ぶことは、年長の時に練習しました。
様々な動きが複雑に組み合わさるので、難易度がかなり高くなります。
複合的な動きに行く前に、先ほどあげたような動きをしっかり習得したいものです。

また、ことばでの説明が理解できるようになっていると、比較的簡単に習得できるので、是非ことばのやりとりの力も伸ばしておきたいです。

今後幼稚園時代の時の取り組みをご紹介する予定ですので、その時にお話ししたいと思います。

出来るだけたくさんの動きを体験・経験させることが大事

日常生活の技能というのは、はじめのうちとても時間がかかるので、私がやっちゃった方が簡単なんですよね。忙しい時には、本当にやっちゃいたかったですが、出来るだけ我慢して、柚樹にやらせるようにしてきました。

1日1回しかやらなかったとしても、1年では365回も練習できる…この積み重ねは大きいです。

2年、3年と期間が長くなるほど、その差は開いていきます。

人の能力というのは、いろいろな物が絡み合って発揮されていくものなので、出来る限りいろいろな体験・経験をさせてあげたいものですね。

もっと言ってしまえば、こうした、日常生活に必要な経験を積むことも、必ず知能指数IQを上げることにつながっていきますので、自信を持って取り組んでいただいていいと思います。

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